私たちは数万メートルの深さの海の底に生きている。
といっても周りは海水ではない。
空気だ。
普段意識をすることはないが、空気の重さは1㎥あたり1.2kgもあるという。
これは地表近くの1気圧の場合だそうだが、数万メートルの厚さの空気の層ともなると、相当な重さだ。
地表での1㎠あたりに掛かる空気の重さは約1kgにもなるらしい。
身体の横断面積=投影面積を約400㎠とすると、私たちの身体の上には、常時400kgもの空気が乗っかっている計算だ。
この重さを感じないのは、一つには空気が四方八方あらゆる方向から回り込み、体表ばかりでなく内側からも均等に圧力を加えているからということだ。
まとわりつく空気の重さは相当なものになる。
重力に抗し、重力を利し、重力を活かし、重力と共にあること。
これは人の身体運動にとって、キーの一つではないかと思う。
空気の海の底にいると思うことで、いろいろ見えてくるものがある。