「恋人たち」
橋口亮輔 監督・脚本 11月14日( 土)〜テアトル新宿ほか
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10日も前のことだが、11月の三連休の初日に観に行った。
観ている時に涙が出ることはしばしばあるけど、観終わって街を歩きながも涙がにじみ出る。
これを書いている今も…
何なんだろう、この映画
物語らしい物語はない。
理不尽な形で愛を奪われた人の姿が淡々と映し出されるだけだ。
喜びも笑いも、エンターテイメントの欠片もない。
でも、ワシは身じろぎもできずスクリーンを見つめることになる。
自分の姿がそこにあったから。
愛が失われたことを、人のせいにすることはたやすい。
そうせざるを得ない境遇もある。
でも、そうしているうちは底を打てない。
いつまでも愛は失われたまま、川の底をさまようだけだ。
壁を叩き続けながら…
底を打たないと、人は立ちあがれないんだよね…
高速の高架下、川の底から覗く、スコーンと抜けた青空に救われた。
実に素晴らしい映画だった。
こういう映画を作る人って凄いなぁ。
で、こういう商業的でない映画を、作らせる人や組織も凄い器だ。
松竹ブロードキャスティングというCS放送の番供が出資しているようだ。
さらに、満員の劇場…三連休とはいえ、封切りから1週間たっているのに。
こういう映画に共感できる人って素晴らしい。
制作した会社の競合会社に勤める知人が「今年の邦画のナンバーワン」
だと褒めていた。
日本の映画文化の底の深さ、映画人の懐の深さを感じた作品だった。
コメント
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