以前から不思議に思っていた、キネシオ・テープのシワシワと、そんな貼り方でなぜ効果があるのかについて少し謎が解けかかっています。
(キネシオテープは、皮膚をやや伸ばすようにして貼付し、通常の姿勢の時にはテープに皺が寄るようにするのです。引っ張って貼るのはキネシオテープ本来の貼りかたではありません)
キネシオテープ(キネシオロジー・テープ)は、
- 筋肉の収縮と同率の弾性テープを筋肉に沿って伸ばさずにはることで
- 筋肉の限度以上に収縮することを防ぐとともに
- (副次的効果として)皮膚がある程度持ち上げられることにより血液やリンパ液の流れが良くなる ※1
といわれています。
皮膚を介して筋肉の正常な伸縮をコントロールすることがキネシオの主眼なのですが、キネシオ関係の本を読んでも「皮膚を介して」の説明がなく、筋肉自体の収縮を直接コントロールしているものと誤解をしていました。
しかし、近年の皮膚に関する理学的研究の本を読んでから、運動時の関節周辺の皮膚の移動による「皺の生成」、逆方向における「皮膚の伸展」が、関節運動に影響を与えていることが判ってきました。(※1)
関節運動時に、皮膚近くの浅筋膜層と、浅層筋とが逆方向にスライドしており、この皮膚のスライドをコントロールすることで、関節運動を容易にしたり可動域を拡げたり、逆に抑止することができるというのです。(※2)
キネシオテープの、皺が寄るようにする貼り方は、どうも筋肉に対する作用よりも、「皮膚の皺、伸展を、運動に都合のよい作用をするようにコントロールする」ために行うのだと言えそうです。
筋肉や腱に直接作用するのではなく、皮膚の張力をコントロールするためなので、あのようにたるんだ?役に立つのか立たないのか判らない貼り方でよかったのです。たったそれだけで運動のサポートになったり、過伸張の抑止になったり、少し意外な気がしますもんね。
これ以外にも皮膚には様々な知覚能力、識別能力、免疫機能など多くの秘密が隠されていますが、そもそも脳や神経は皮膚由来、つまり原初の脳なのですから、それも当然ですね。
誤解をしていたのは私だけかもしれませんが、ニューハレなどを引っ張って貼る人も多く見かけるので、一応コメントしておきました。
※1「決定版キネシオテーピング」キネシオテーピング協会 1996 スキージャーナル社
※2、※3「皮膚運動学」福井勉 2010 三輪書店