それに自分が参加していては見ることが出来ないトップランナーの走りを間近で見ることができる。コースの序盤と終盤がロードなので、あまり参考にならないかもしれないが、どれくらいのスピードで走っているのか知りたかった。
ということで、6時に家を出て、池袋から西武線で秩父へ向かう。池袋に着くと、ちょうど2分後に6:55発、8:14西武秩父着の特急「秩父号」が出るというので、座席指定特急券620円を奮発して、慌てて駆け込む。
以前は〈今も〉レッドアロー号と言っていた有料特急で全席指定。座席は前後の間隔が広くゆったりしている。最後の一人だったせいか、最後尾の端の席。半分程の乗車率で、そのまた半分程がレースへの参加者のようだ。
高麗を過ぎるとすぐに緑豊かな渓谷に入って行く。左右に山が並行して走り、線路近くの渓谷で山裾が合わさる。武蔵横手、東吾野、吾野、西吾野、正丸と駅のすぐ脇まで茂みが迫っている。
広葉樹林と針葉樹林がパッチワーク状に混淆している。全体に密度が高めで手入れがしきれない林も多そうだ。平坦な土地が少ないため
家もまばらで、遠目に見ると何とものどかな雰囲気だ。この辺りに家があれば毎日のように山に入れて菜園づくりもでき最高なのだが・・
正丸トンネルを抜けると車窓左手に武甲山が見えてくる。
山頂部に雲がかかっているが、雨の心配はないようなので大丈夫だろう(笑)、やはり参加しないと観天望気の緊張感もだいぶ違う。
終点の西武秩父の駅に着くと、天気はピーカン。
元鉄道少年としては、やはりレッドアロー号は押さえておきたい。
この坂を登るとスタート地点の羊山公園。
一旦受付を済ませ、その後チップを返却する。これでDNS(Did Not Start)として登録されるだろう。
参加賞のトレイルグローブは、手の平に人工皮革のパッチがついたポリエステル100%のフリース製。冬場のトレイルにはいいだろう。
スタートまで小1時間程あったので、会場の羊山公園をぶらりと歩いてみる。その名の通り、もともと羊が飼われていたそうだ。今は合計13頭だけ。
スタート地点周辺は芝生と木陰が適度に混じり、気持ちがいい。
戻ってみると既に9時を過ぎ、スタート地点隣で開会式が開かれていた。主催のNPOの方、招待選手代表の奥宮俊祐さんがご挨拶。
奥宮さんは、招待された今年3月の房総丘陵、自ら企画した4月の日原の婚活トレイルともに悪天候に祟られ、「この晴天の今日、武甲山頂で天候が急変したら・・・」と笑いをとっていた。
初めて間近で拝見したが、思ったよりも背が高く、めっちゃ爽やかでカッコ良かった。手足もスラッと伸びていて、スーツ姿なども似合うだろう。お父さんと2人のお子さんと来ていた。名簿のチーム名に
「モントレイル」とあったので、大宮自衛隊は辞めたのだろうか・・
驚いたことに奥宮さんが私を見て、何度もアイコンタクトしてくれて、軽く会釈までしてくれる。私はモントレイルの新しいキャップをかぶっていたの
だが、それが昨年まではスタッフ限定のものだったので、彼はチーム(モントレイル)関係者だと思ったのかもしれない。勘違いとは言え、トップアスリートと
親しくなれたような気がして嬉しかった。
行き帰りの電車ではモントレイルの靴だったが、秩父での私の足元は、ビブラムの5本指。登り坂はとても登り易く、無駄な力を掛けずに、ずんずん押し上げていく。体力が落ちているのにも関わらずで、トレーニングを積んだ後ならさらに効果があるだろう。
しかし後で下り坂で少しスピードを出したところ、ショックを抑えるのが結構難しいことも分かった。激しい登り、すべりやすい泥の坂が多く、スピードが出し
にくいトレイルには良さそうだ。
この日は約8kmの歩行のうち5kmを5本指靴で歩いた。後半踵を浮かせて歩くのがきつくなり、
家に帰ると土踏まずと脹脛の下部が少し凝っている。といっても気持ちいい疲れで、そのうち足の裏のアーチがしっかりし、足首がしまってくるかと思うと楽しみだ。
5本指のことに気づいたスポンサーのスポーツショップ「ひだまり山荘」のスタッフと少しだけ話をした。ご自身も使われているそうだが、
「Brooks」に力を入れているらしく薦められた。
いよいよスタートということで、15分くらい前から徐々にスタート地点に人が集まってくる。トレイルらしく和やかだが、やはり最前列のトップアスリートには緊張感もある。
ビデオを撮っていて、ずいぶん参加者が多いことに気づいた。300人位だと思い込んでいたが、パンプには定員500人と書いてあり、名簿を見るとさらに多く600人以上の名前がある。U字連山が中止になったりしたので、こちらに振り替えたのだろうか。
スタート直後は羊山公園内のロードを一周する。その後は、琴平ハイキング道→橋立堂→武甲山→子持山→大持山→妻坂峠→生川→横瀬駅前→羊山公園と再び戻ってくる。
数分もたたないうちに、トップ集団が一周終えて戻ってきた。あっという間に通り過ぎる。
スタートを確認してから、選手たちとは反対方向、横瀬駅方向、さらには武甲温泉に歩いて向かう。一風呂浴びて、横瀬駅あたりでトップ選手の帰還を見届けようという、少し失礼な魂胆。
道中の秩父市内からはどこからも武甲山が良く見える。削られた山肌はもっと痛痛しいのかと思ったが、時代がたっているためか、岩肌にも苔むしているのか、樹木も多く、結構緑が覆っていて、採石で荒れたという印象はあまりない。
横瀬駅近くの、横瀬小学校。素敵な旧校舎が保存され利用されているようだ。それにしても広いグラウンド。裏手にはサッカー場もあった。
横瀬小学校の脇を入り、300mほど行くと、横瀬川のほとりに「武甲温泉」がある。休日は通常1,000円、現在は割引中で800円とやや高め。中はあまり新しくはなく、広い。温泉もぬるめで、なんとなく間延びした感じ。キャンプ場が隣接しており、我が家の夏キャンプにどうかと思ったが、付近に民家も点在しているため、「自然の中でキャンプする」というより「宿に泊まれずキャンプする」ような感じがしてしまう。
いつものことだが自販機につり銭を置き忘れてしまったようだ。帰りに声を掛けられて、返してくださった。
横瀬駅に着くと、11:25だった。 スタートから約2時間がたつが、駅前にできる予定のエイドステーションのスタッフは来ていない。
11:30過ぎに2台の車でスタッフが到着。「先頭は?」と聞くと、あと10分くらいのところに来ているらしい。駅から500メートルほど離れたところで、武甲山をバックにカメラを構えていると、11:56分、2時間26分経過時点で、ポツリと選手の姿が見える。
やはり奥宮さんだ。ずんずん近づいて来て、シャッターが間に合わない。「頑張れ~!」と
声を掛けると余裕で手を振ってくれた。
武甲山をバックに撮るつもりが慌ててしまい、バックも奥宮さんも上手くとれなかった。
その後20分以上後続が来ない。ゴール時間は分からないが単純計算だと2時間38分ということになるのでただ一人3時間切りだろう。
3時前には帰宅したが、少し咳は残るものの、秩父の自然と、皆さんのパワーをいただいたお陰だろう。だいぶ調子がよくなった。来週からやっと少しずつ走り始められるだろう。