宮里藍ちゃんが愛用して好成績につながったと評判の、五本指シューズ。最近は売れ行き好調で入手難。アマゾンなどでも品切れ状態だ。特にトレイルでも履ける「Bikila」は品切れの店が多い。
なかなか試す機会もないであろうということから、トレイルのサーフェース(路面状態)別に、従来のトレイルラン用シューズ(モントレイル「マウンテン・マゾヒスト」)と、ファイブ・フィンガー(ビブラム「Bikila(ビキーラ)」)との主観的な印象を記してみる。但し、まだトレイルで10km以上の距離をBikila一本で走ったことがないため、あくまで中間的なインプレッションに過ぎない。
尚、写真を掲載したトレイルすべて参考写真で、すべてのトレイルでマウンテン・マゾヒストやBikilaをはいたわけではないのでご容赦下さい。
ちなみに私は筋持久力、心肺持久力ともに水準以下の中年ランナーで、速度も遅く距離も出ず、レースでは最後尾をにぎわしている。成績が悪いときは道具のせいにしてしまうため、いつもシビアな視線で道具をチェックしてしまう。
【落ち葉のシングルトラック、平坦~緩やかな傾斜】
- 乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ◎
- 濡 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ◎
トレイルランで最も快適なサーフェイスは、Bikilaにも最適。
【落ち葉のトラック、平坦~緩やかな傾斜 (但し枯れ枝などが多い)
- 乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ◎
- 濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ◎
Bikilaはクッションが少なく、プロテクションも簡易なので、マウンテン・マゾヒストのように枯れ枝をバキバキと踏みつけて走るのはやめておいた方が無難。
【落ち葉+踏み固められた小石のトラック】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ◎
- 登り、濡 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト △
Bikilaは浮いた小石はやや苦手だが、踏み固められて半ば以上地中に埋まっていれば、乾燥しても濡れていても全く問題ない。どちらの場合も登りは得意。下りは踏み固められているといっても浮石や突き上げに注意しながら足を置く必要がある。
マウンテン・マゾヒストも、乾いていているうちは問題ないが濡れてくるとやや滑りやすくなり少し気を遣う。特に下りは浮石での捻挫の恐れがあり要注意。
【木の階段】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ◎
- 登り、濡 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ◎
- 下り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ×
登りはどちらも問題なく、濡れているとマウンテンマゾヒストが足の置き所に少し気を遣う程度。
下りはマウンテンマゾヒストが天候次第で正反対。乾いていれば最適、濡れていると最悪。丸太の上に足を載せると、ほぼ間違いなくすべる。
下りのBikilaは天候に関係なく、着地の際に足の置き場に少し気を遣うだけで良い。
【木の根の張った土の斜面】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 登り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ×
- 下り、乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、濡 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ×
木の根の張った斜面は足の置き所が狭く、乾燥していても滑ったり引っかかったりする。しかも濡れていると、少しでも斜めになった木の根は滑りやすい。
土の斜面も登り下りに関わらず濡れると滑りやすい。トレイルシューズはどれも気を遣うサーフェイスだが、対照的にBikilaはその軽さ、コンパクトさが際立ち、路面の感覚をデリケートにキャッチできるので、かなり楽だ。
特に濡れているときのマウンテンマゾヒストは、登り下りとも足の置き所が難しく、すべり易い。無駄な時間が掛かるし、体力の消耗も激しいので、レースのときなどは避けたほうが賢明。
【石の階段(石灰岩、安山岩など表面のザラつきがあるもの)】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 登り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト △
- 下り、乾 Bikila ○~△ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、濡 Bikila △~× マウンテンマゾヒスト △
Bikilaは、長く続く単調な下り段差、特に段差が開いたものは、ショックの吸収に注意が必要で体力消耗が激しく、あまり得意ではない。乾いた下りの△、濡れた下りの×は、段差が大きかったり、長く単調に続く場合。
逆に登りは最も得意な路面の一つ。
マウンテンマゾヒストは、トレイルシューズの中では軽く、クッションもそこそこあるので、「滑りにくい石」という前提であれば登り下りとも向いているだろう。但し濡れているときの油断は禁物。
【岩の坂(急斜面)】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 登り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト △
- 下り、乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、濡 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ×
岩の種類によっても若干異なるが、概ね石段と同様。着地する際の石の面が水平とは限らないので、濡れた下りのマウンテン・マゾヒストは×、逆にBikilaは石段よりも変化に富むので、ショックを受ける場所が分散して良いかもしれない。急斜面になればなるほどBikilaに向いていると思う。
【小石交じりの土の道(緩斜面)】
- 登り、乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ◎
- 登り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、乾 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、濡 Bikila △ マウンテンマゾヒスト △
恋し混じりの土の道は、林道に近い幅広の道が多いようだ。浮石が多いので、靴底の薄いBikilaは突き上げを避けるため結構気を遣う。
雨でもさほど滑る心配がないので、クッション性に優れたマウンテン・マゾヒストに軍配が上がる。
但し、マウンテン・マゾヒストにとっては快適な斜面だけに、飛ばしていると浮石の乗っかってしまい、捻挫しがちなので要注意。
【砂利の一般道(平坦~緩斜面)】
- 登り、乾 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ◎
- 登り、濡 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、乾 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ◎
- 下り、濡 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ○
天候に関わらず、bikilaには不向き。「しっかり地面を捉え安定する」Bikilaには、踏みしめると動いてしまう砂利では、特性が全く活きてこない。
逆にマウンテン・マゾヒスト位のショック吸収力、安定性、軽快さが、どんな種類の靴よりも合っているようだ。
【土の斜面】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 登り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ×
- 下り、乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、濡 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ×
程度の差こそあれ、トレイルシューズでは登り下りとも滑りやすい。特に濡れているときのマウンテンマゾヒストは、完全に滑る。
Bikilaでも滑ることは滑るが、路面の感覚をデリケートにキャッチできるのでバランスを維持しやすく、かなり楽だ。
【舗装路(平坦~緩斜面)】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ◎
- 登り、濡 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 下り、乾 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ◎
- 下り、濡 Bikila △ マウンテンマゾヒスト ○
下りの舗装路は単調でスピードも出るため、衝撃吸収性が殆どないBikilaには、正直つらい。但し登り斜面ではトラクションが優れているため、無駄な力がかからずぐんぐん進む。緩斜面では違いが出ないが、傾斜が急になればなるほど差が際立つ。
マウンテン・マゾヒストはトレイルシューズの中では軽快で、ロードでのスピード走行にも向いており、登り下りともに快適。但し、濡れている路面の側溝、つなぎ目の金属板、落ち葉などのスリップには注意が必要なのは他のサーフェイスと同様である。
【総論】
- 登り、乾 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト ○
- 登り、濡 Bikila ◎ マウンテンマゾヒスト △
- 下り、乾 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ◎
- 下り、濡 Bikila ○ マウンテンマゾヒスト ×
登りは路面状態に関わりなくBikilaに軍配。テクニカルであればあるほど、雨後など劣悪であればあるほど差が大きい。逆に下りは好天で乾いていればマウンテン・マゾヒスト、濡れていればBikilaと言える。
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