【序章: 脚の故障】
今年の武田の杜は、昨年のリベンジを果たすべく、きちんとトレーニングを積んで望むつもりだったが、レース一週間前になって、突然左ひざ外側(腸脛靭帯)が、翌日は同内側(鵞足包)が痛み出した。さらにその数日後には膝の上部(大腿四頭筋下部)と右足の腸脛靭帯に痛みが移る。レース前日は左足アキレス腱に刺すような痛みまで出てきて、出走が微妙になってしまった。
どうもロードを中心としたトレーニングでダメージと疲れが溜まっているようだった。ジョグノートの友人達も「無理しないように」とアドバイス暮れるし、2~3キロも走る自信がなくなってしまった。
今年6/6に風邪で武甲山のトレイルランをDNSして観戦だけしたように、参加賞だけでも貰いに現地に行くだけ行くことにした。
【とりあえず現地入り】
夜11:30に床に入り、朝2:50に起きて3:10に家を出る。首都高、中央道はガラ空きで、4:30には初狩のSAに着く。あまりの眠さに15分仮眠を取り、一宮御坂で下りて5:30に現地に着く。駐車場の車中で30分眠り、6時から始まる出走受付に向かう。
去年はもっと暗いうちに受付をし、受付後に日の出を見たのだが、今年は結構明るい。時間が少し後のなのだろうか。選手もすでに大勢集まっている。
武田神社には、開会式に皆で参拝するのだが、たぶん出走できないので、先に二拝ニ拍手一拝しておく。
【出走取りやめか・・・】
昨日のアキレス腱の刺すような痛みは、今朝は踵からふくらはぎ、ハムストまで貫く痛みになっている。車を運転している間も、10分くらいおきに周期的に、踵の骨の周りがズキンと痛む。
今年は若干のコース変更があり、神社の周り約1kmを1周してからトレイルに向かうことになった。コースと脚の様子を確かめるために一周散歩して見た。
神社(躑躅が崎城館)の東側が大手門。この奥がスタート地点で、手前に出てきて右に折れ一周する。
掘割には白鳥や鴨が憩っている。近くに居ると寄って来る。
脚は時折ズキンとする。やはり難しいようだ。大会スタッフの一人で起案者のヨ○ダさんに声を掛けられたときに「体調が悪くて出走を迷っている」と言ったら、「体調が悪いなら止めておいた方がいいですよ」と言われた。
健康状態が万全出ないときは棄権するのがマナーなので、ご迷惑を掛けないように、棄権することにした。
【急転して出走!】
出走を見送る8:00までは仮眠しようと、駐車場に戻り、鳳凰三山や甲斐駒の白い峰々を見ているうちに、昨年同じ場所で見た同じ山々が、朝焼けに輝いていたことを思い出した。
朝焼けの常で、昨年はその後天気が今ひとつで、コース途中から南アルプスが見えなかったのだ。
今日の空模様だと、途中白山からの眺めもいいだろう。この景色がこの景色をコース途中から眺められないのが何ともつまららく、むなしく感じられてしまった。
ふと「ロードで生じた痛みだから、武田の杜の気持ち良いトレイルを走ったら痛まないんじゃないか?」と思えてきた。特に第2エイドまでの気持ち良さはなかなかないものだ。思いついたらその気になってしまうB型のせいか、ジョグノの皆さんの「無理しないで」のアドバイスも一瞬にして掻き消えてしまった。(笑)
となればすわ出走だ!
慌ててキネシオのテーピングをそこら中にペタペタ施して、スタート地点に急いだ。少しでも加熱した時に備え、冷却スプレーも忘れずにザックに入れる。
(写真はレース後)
毎度のことだが、自家製ジェルも、ソフトフラスク入りのパワーバージェルも家の冷蔵庫に忘れてきてしまった。「バカだなぁ。まぁいいか、予備を持っているし」と、バラのジェルをザックのポケットに突っ込む。
写真を撮ろうとすれば、充電池の入れ忘れ。「バカだなぁ。まぁいいか、携帯があるし」
この台詞、レースの度につぶやくんだけれど、今日は何回言うことになるのだだろうか・・・
迷ったのがTシャツ。体調が良ければ「上州山楽走」のTシャツ、悪ければノンブランドと決めていたが、敢えて山楽走のみどりのTシャツにした。2戦続けてベケの方で名前を辱めることの無い様、不退転の決意というわけだ。えへん。
【どたばたスタート。忘れ物だらけ】
スタート地点に着いたのが3分前。慌てて荷物を預け、ハイドレに水を入れセッティング完了したのが10秒前。スントの時間をセットしつつ、写真を撮る。
ヤバイキャップ付きの帽子を荷物と一緒に預けてしまった・・・。「バカだなぁ。まぁいいか。そんなに暑くないし」
最後尾について1周している途中、逆走してくる女子1名。「出走カード出し忘れちゃった」と言っている。
「バカだなぁ」と心の中で笑っていたら、「あれっ? 自分も出してないぞ!」 バカもう1名。
慌てて私も逆走して、スイーパーのおじさんにカードを託す。
ということでこの台詞、今日も4回。
【いざトレイルへ=慎重な序盤】
一周して少しロードを走り、トレイルに入る。心拍数をこまめチェックし、170を超えないように注意する。220マイナス年齢の算式によると私の最大心拍数は169となる。実際の最大心拍は190強。
170だとMAXの90%に届かないので、さほどダメージはない。本当は140台以下が望ましいが、歩いていても超えてしまうことがあり、非現実的だ。
トレイルに入って最初の坂を登ると、↑ご覧の景色。市内が良く見渡せる。ゆっくり走っていたが何人か抜いてしまったが、写真を撮っているうちにまた最後尾になった。
心拍数170をガイドにして登りは早歩き、下りと平らなところはスロージョグ、少しでも膝関節が温かくなるとアイシングをしながら無理せずゆっくり走った。
にも関わらず、要害山に着くころには何十人か追い抜くことができた。最後尾スタートなので、抜いた人数だけ順位が上がりポジションが分かりやすい。
昨年はテーピングの仕方が悪かったのか序盤でふくらはぎが過度に疲労してしまった。同じ位の時間と順位だが、今年の方が心肺、足腰にだいぶ余裕がある。
要害山山頂
要害山の下りでは、ももや膝に負担を与えないように、リラックスを心がけて降りる。さらに数人を抜くことができた。
エイド1/4 1:27(前年1:28)
写真の時間を見ると、ここまでのペースは昨年と殆ど一緒だった。実質は1km分=10分ほど短縮している。
武田の杜のエイドは4箇所もあり、中身は同一で結構充実している。バナナ、チョコ、飴、ポカリ、コーラ、水などがある。ことしは岩塩も加わっていた。ショ糖は避けることにしているので、バナナとポカリ、岩塩を中心にいただく。
【ふかふかトレイル=好調な中盤】
10km手前の第1エイドから、20km手前の第2エイドに掛けての10km程が武田の杜の白眉のコースだ。ゆるやかなアップ&ダウン、明るい木立、フカフカの落ち葉のトレイル。写真を撮りたいと思いながらも中断するのが惜しい。
途中、何箇所トレイルを横断している金属の溝に脚をはさまれないように気をつける必要があるが、極上のトレイルだ。脚の痛みは全く感じない。日ごろのジョグのように気持ちよく走る。
この区間、昨年は前後に全く人影がなく、1人か2人しか行き会わなかったが、今年はこの区間でも10人近くを抜くことが出来た。
途中15km地点の係りの人が言うには、270番目前後とのこと。後ろから60~70番目くらいらしい。時計を見たら、ちょうど2時間。ということは4時間ちょっとで着けるかも・・・と甘いことを考える。
16kmくらいのところで、追いついた人に、横から「まんもさん!」と声を掛けられる。驚いて見てみるとかんなの西御荷鉾山頂で一緒に写真を撮ったモントレイル氏ではないか。またお名前聞きそびれてしまった。写真を撮ろうとしたが携帯カメラなのでタイミングが合わず失敗。
先を走っていたマシンガントークの女性2人組みに追いつき、軽くしゃべりながらいつしかパス。
【目標達成】
エイド2/4 2:41(前年2:59)
第1エイドと第2エイドの間、昨年のタイムよりも16分も短縮している(実質25分)。いい調子で第2エイドに到着といいたいところだが、実はこの辺りから、右足の土踏まずに靴擦れで水ぶくれができた気配。靴紐を締めたり緩めたりしたが、次第に痛みが増してくる。
白山 2:57(前年 3:16)
よたよた歩きになり始めたが、「まぁこれが普通さ」と嘯きながら、南画というか山水画のような白山に向かう。白山は苦しいだけの急坂だけれど、今年は頂上から南アルプスと甲府市街を眺めるのが、出走の動機であり目標なのでさして苦にならない。
↑↓白山途中と頂上付近からの南アルプス。真ん中の小さな小さな白い三角が(おそらく)甲斐駒ケ岳で、その左の白が(おそらく)鳳凰三山。
不思議と大丈夫だった膝も、白山の下り坂で痛み出してきたが、頻繁にアイシングして封じ込める。
それよりも靴ズレの痛がだんだん酷くなる。鏑木さんの「内出血で足がジャブジャブ」に比べれば屁でもないと笑い飛ばす。去年も同じところで同じことを考えたっけ。痛いが治療している時間が惜しいので我慢するしかない。
【健康の森=情けない終盤】
エイド3/4 3:24(前年 3:50)
白山から南アルプスを眺めるという目標を達成してしまったせいか、第3エイドにはかなりヒョレヒョレになってたどりつく。ブログ書きながら昨年のタイム見て気づいたが、それでも区間10分短縮して、合計で26分も早く着いたのだ。実質35分速い。
コース終盤の8.5kmは健康の森というのだが、林道のような路面で、下がコンクリートで結構足に堪える。トレイルランナーにとってはあまり健康的ではないような・・・。
落ち葉に埋まった浮石に足をとられることも多くなり、一本調子の登りと下りが多く、体力を消耗した終盤にはキツイ。
心拍数は下がり気味で150そこそこ。吹き上げる余裕がない。数人に抜かれはじめ、気持ちが緩んで登りはもちろん下りや平坦なところでも歩きかけてしまった。
係りの方が小マメに残り距離を教えてくれる。そんな声に刺激されてか、残り3kmあたりから気を取り直して「これじゃ去年と一緒で成長がないな」と思い直す。姿勢を正し、声を出し、ともかく走っているんだというカッコだけは整える。結局この区間で16分短縮できた。
【ゴール:前年比42分短縮】
ペースは遅いままだがともかく走り続け、最後の500mで一人抜き、とうとう歩かずにゴール。
ゴール 4:42:55(前年 5:24:24)
時間は4:42:55と、目標の4:30切りは出来なかったが、最低目標の5時間切りは達成できた。前年比41分29秒の短縮だが、距離が1km伸びていることを考えると、30km換算では4:33:00くらいで、51分くらいの短縮。ベケ5だった順位も、男子205位、総合269位/336人中と、べケ69、全体のちょうど8割くらいに上げられた。
足の状態が良ければという思いはあるものの、目標タイム以内で完走できてともかくホッとした。無理してリタイアだと「無理するな」とアドバイスしてくれた人たちを裏切ることになるからね。
着替えているうちに閉会式、それに続いて賞品のじゃんけん大会が始まった。レースの男子1位(総合1位)は相馬剛さん。石川さんプロデュースレースでは、信越五岳110kmに続き連勝。ホントに凄いですね。
考えてみると去年は閉会式さえ終わってたんだなぁ・・・。一人前になったような気がして感無量。
靴擦れを見てみると、3~4cm四方くらい皮が剥けていた。痛い足を引きずりながらマイクロバスに向かう。昨年は寒風の中、長い時間たちっぱなしでバスを待ったのだが、今年は待たずに乗車。バスに揺られながら、自分自身の成長が少し嬉しく、ニヤニヤしながら携帯でジョグノートに成績を記録。
【ご褒美とみやげ】
レースの参加賞はバスタオルと温泉の入浴券。
迷わず、昨年お世話になった杖温泉弘法湯に向かう。それほど大きくはなく少し古びた宿ですが、ご主人も美人お女将も、とても知的で素敵な方なのです。
宿は界隈でも最も古いらしく、脱衣場に弘法大師のお像もあり、肌当たりのやさしい泉質も何やらありがたい感じ。フル○ンで光明真言を唱えてから、お湯に浸かっているうちに、汗と一緒にすっかり疲れが抜けた感じ。
湯上りにお茶をいただいたので、お礼といっては何だけど、会社へのお土産に菓子折を買わせていただく。家族へのお土産に「とりもつ」の土産を帰るところを教えてもらい、失礼する。
教えてもらったとりもつ屋に着いたら4:30で、5:30からの営業まで1時間以上ある。携帯で他の店を探したが市中が混雑していて、土産を買える店にたどり着けない。結局高速の釈迦堂サービスエリアで真空パックを購入。
5時半に甲府を出たが、さほど混雑せず7時半に帰宅。
【本日の走行データ】
- 走行距離: 31km (大会発表)
- 走行開始: 8:00
- 走行終了: 12:42:55
- 走行時間: 4:42:55(グロス)
- 順位:男子 205位 総合269位
- 平均速度: 6.6 km/h (09'07 /km)
- 最大心拍数: 186
- 平均心拍数: 158
- 消費カロリー: 3358Kcal(SUUNTO)
【本日の補給食、サプリ】
《前日》
- BCAA:ジェル:アミノバイタル・スーパースポーツ×1
- BCAA:MUSASHI NI×1
《朝食》 運転中
- 菓子パン2、握り飯2
- 野菜ジュース 250cc
- BAAM 250cc
《走行中》 水分摂取計約1300cc、カロリー摂取約800Kcal
- ハイドレーション: SAVAS 1,000cc分を1,250cc希釈(消費 650cc、約50Kcal)
- 予備ペットボトル:250cc
- エナジージェル:パワーバー×1、カーボショッツ×2、354Kcal
- BCAA:アミノバイタル・スーパースポーツ(ジェル)×2、200Kcal
- エイド:バナナ1/3×3
- エイド:ポカリスウェット 100cc×5 27Kcal×5
- エイド:コーラ(ゼロ) 100cc×2
- エイド:岩塩少々×2
《走行後》
- エイド:ポカリスウェット 100cc×2
- エイド:コーラ(ゼロ) 100cc×2
【本日のウェア、ギア】
- バックパック: グレゴリー・スティミュラス 5L
- シューズ: ラ・スポルティーバ クロスライト(インソールはホシノ バランス+60)
- シャツ: モンベル・ジオライン・ライト・ロングT
- シャツ: 上州山楽走T(ポリエステル100、オリジナル)
- パンツ: パタゴニア・ウルトラ・ショーツ
- 靴下: スマートウール・トレイルランニングミニ
- 手袋: モンベル・フィンガーレス サイクル用手袋
- 帽子: 竹繊維キャップ(メーカー不詳)
- サポートウェア: スキンズ・ハーフタイツ ホワイトカモ
- ハイドレーション: キャメルバック・オメガ・リザーバー 1.5L
- 計測用具: スントt3c(計時+HR)
【その他携行品】
- 小型冷却スプレー、ホワイトテープ、小はさみ、救急絆創膏
- ウィンドジャケット: TNF・スワローテイル・ジャケット
- エマージェンシーセット(緊急シート、ヘッドライト、緊急食、ソルト、その他入り)
- ウィックドライ・タオル(小)
【トラブル】
- 右足土踏まず部内側前半部、直径3cm程度の靴擦れ(水ぶくれ)