第1回三浦半島縦断トレイルラン(42km)は、無念にも32km地点でタイムアウト。
鎌倉アルプスのトレイルレースを主催しているNPO野外活動(自然体験)推進事業団が、文字通り三浦半島を縦断するトレイルレースを企画した。JR根岸線の港南台駅近くから、三浦海岸までの42km。来年は城が崎までの63kmまで伸ばすらしい。
最高地点の大楠山でも僅か241mと標高は低いが、小刻みなアップアンドダウンが多く、累積標高差は意外にも約2000mもある。一番最近走った武田の杜が31kmで累積標高差1800mなので、なかなか手ごわいロングコースだ。
↓縦断面図(スピードは平地換算7km/hで設定)
【モチベーション?】
累積標高差3000m、距離40kmの神流を完走したので気軽な気持ちで申し込んだのだが、膝に故障を抱えてしまい練習もままならず、道迷い必至という難コース、42kmという初めての距離に、正直なところ前日まで今ひとつモチベーションが上がらなかった。そんな中ジョグノの皆さんの「楽しんで来い!」というコメントに励まされ、「どうしたら楽しめるか」と、気持ちを前向きに切り替えることにした。
私にとっては、終わったあとの風呂がトレイルランの大きな魅力。ということで、どこでリタイアしてもいいように、エスケープ地点毎に温泉と風呂をチェックすることにした。
亀遊舘(六浦)、鷹取温泉(追浜)、ニュー松の湯(追浜)、竹の湯(田浦)、阿部倉温泉・湯ノ沢旅館(不動橋)、あづま湯(東逗子)、嵐の湯みうら(野比)、野比温泉(野比)、朝日湯(衣笠)といくつも見つかったが、どれもコースや駅から遠かったり、料金が高いなど今ひとつ。結局ゴールの三浦海岸にある「マホロバマインズ三浦海岸クアパーク」というのが一番向いているようだった。しかも15:30までに入れば@1000円が@600円になるということもあり、結局早いタイムでゴールまで完走するのが一番快適ということが分かった。
無理ではあっても、ニンジンがあるのと無いのではエライ違いで、俄然モチベーションが上がってきた。あとはいけるところまで行くのみ。
【バタバタ出走】
朝は5:45に出発。気合が乗ってきたので、今日はいつもの半パンにしたが、膝に不安があるので、5:00に起床して入念にテーピングをした。
スタートの最寄り駅、京浜東北線/根岸線の港南台駅には7:30くらいに到着。もっとまばらかと思いきや、意外に大勢の選手が居る。5分ほど歩くとスタートの港南台高校跡地のグラウンド。駅ではマイミクの「あかつき」さん、会場受付ではジョグノのリキさん、まりぱさんにお会いする。1月にトレイル中心に月間700kmを走ったリキさんだが、今回はお休みでスタッフ参加とのこと。まりぱさんも大会スタッフだが、受付を手伝った後は一緒に走るらしい。
(↑スタート地点の港南台高校跡地のグラウンド)
8:30からのスタートは性別、年齢順の2分おきのウェーブ式で、ラストの女性陣のひとつ前、全10組の9番目で8:46という遅いもの。
1時間以上ゆとりがあるので、駅まで戻ってトイレに入ったり、着替えをしたりでのんびり構えていたら、いつの間にか8:30を過ぎていて、皆さんどんどんスタートしている。
ジョグノ仲間のブンブンさんや、上州山楽走の山系ENJOYさん・栗原さんを見つける暇もなく、スタート時間にも遅れてしまった。
【楽しいコース】
レースの最序盤1kmほどは市街地のロード走。途中で信号待ちや、車待ちがあり、レースというよりも集団でジョグしているようでとても新鮮。
だいたいキロ6"30のペースで、丁度良い。
(↑レース中に信号待ちとは珍しい)
トレイルに入ってもしばらくは散歩道のように緩やかなアップ&ダウンで快適なペースで進んでいく。途中、1キロほど行ったところで、まりぱさんが立ち止まっている。すぐ側に昨年のハセツネ準優勝奥宮俊祐さんが立っている。奥宮さんはこちらが一方的に知っているだけなのに、もの凄い親しげに「こんにちは!」と声を掛ける。奥宮さんもいつものニコニコ顔で挨拶を返してくれたので、すれ違いざまにちゃっかりガシッと握手をして、エリートランナーのパワーを分けて貰う。後でまりぱさんに聞いたら雑誌の撮影か何かとのこと。
基本的に住宅地の裏山のトレイルを繋いだものなので、もっと俗っぽいかと思いきや、意外と自然が色濃い。そんな中をキロ6"30のジョグペースで5km以上も走れるので、とても気持ちがいい。脚の調子もボチボチで息も上がらず、「これは、ひょっとしてひょっとするかも?」と妄想が膨らむ。
【しっかり道迷い、渋滞】
前の人のペースに合わせて、一列になって楽しく走っていたら、突然ストップ。前から大会スタッフのまりぱさんたち「道が違う。米軍の基地にはいっちゃう」という声と共に戻ってくる。正しいコースとの分岐まで、往復で1kmくらいだろうか若干のタイムロス。
その後は快適に進んだが、朝比奈の霊園手前の道路に降りる坂道で、10~15分ほどの渋滞。
試走の時にトラブルがあった霊園の中は走行禁止で歩行するように注意された。おしまいの方でついつい小走りをしてしまったら注意されてしまった。反省。
くねくねとしながら朝比奈の切通しに出る。数日前の雨雪のせいか、まるで渓谷のように水びたしになっていた。第1CP地点で再びトレイルに戻り、しばらく進むと、第2CPの東朝比奈公園(約10km、第1関門=2時間)。所要時間は30分短い1時間30分ほど。道迷いと渋滞のタイムロスにもかかわらず、いいペースで進んでいる。
エイドでは水と梅干、オレンジ片をいただく。黒糖かりんとうがあったらしいが、後発スタートのおじさんと女性陣がエイドに着いたときには殆どなくなりかけていた。
【マリオネット走法 or ぴょんかぴょんか走法】
第2CPからは、しばらく住宅地のロード走行。アスファルトの坂を下っているうちに、ついに膝に違和感が出始める。走行開始から12kmほど。まぁ持った方だろう。この冬のラン友、脛腸靭帯炎君だ・・・。何げに近づき、しっかり居座る鬱陶しいヤツ。
下りで膝が曲がると激痛が走り「ギャッ」とか「クヌヤロ~」「チキショ~」と叫んでしまう。登りと平坦なところでは痛みはさほどではないが、登りは思い切って力が入れにくい。
短パンの左足の裾を握り、マリオネットのように吊り上げたり降ろしたりしながら、ぴょんぴょんと跳ねるように坂を上がり下がりする。「ぴょんぴょん」というほど軽快でもリズミカルでもないので、名付けて「ぴょんかぴょんか走法」
トレイルに入っても痛みは治まらず、CP3の鷹取山(↑写真)付近の登りと、直後の送電線管理路への道迷いで徐々に高まる。
痛みは引かないどころか、CP4の板取公園、CP5の乳頭山で限界に達してしまった。22km地点の不動橋(CP6、第2関門)を超えればゴールの方が近いと分かっていたが、脛腸靭帯炎のしつこさを考えてリタイアを覚悟した。既に10km以上ぴょんかぴょんかして、やばい状態にかっているかもしれない。
そんな思いで不動橋手前のロードに出ると、リキさんが立っていた。「リタイアする?」聞かれ、「不動橋でリタイア」と答え、しばらく立ち話。そのあと走り出すと、下り坂なのになぜか痛みが弱くなっている。
不動橋(CP6、第2関門=5時間)に着いてリタイアしようとウロウロしていると、「お疲れさん! もう半分過ぎたよ! 頑張って!」とボランティアのボーイスカウトの指導者達が励ましてくれる。膝の痛みが一瞬弱まった時でもあり、リタイアを申し出にくく、なんとなく次に進んでしまった。
スタートから4時間30分で、5時間の関門を越えられたが、次の光が丘第二公園(32km地点、CP10、第3関門、6時間半)2時間で10km到達は難しいと思ったが、奇跡的な回復もあるかもしれないと思って(あるわけない!)、とぼとぼ大楠山に向かった。
途中埼玉を中心に活動する、オレンジTシャツのトレランクラブ「黒澤組」の方々と前後して走り、元気を分けていただいたのも、次に向かうモチベーションだった。どうもありがとう。
【毎度のトラブル遭遇】
レースのたびに事故やハンガーノックなどのトラブルに遭遇するが、今回も例外ではなかった。
六浦バイパス南側辺りのロードで、先行していた男性ランナーが急にふらふらして、受身も取らずばったりと植え込みに倒れてしまった。
ゼッケンから見ると五十代だ。駆け寄るとすぐに意識を取り戻したが、大事を取って脇に座らせ、脈を測り、塩分とカロリー摂取を訊ねた。脈も力強く、塩分も栄養も摂っているとのことで、本人もバナナを取り出したりしていたが、倒れ方から見て低血糖と思しかったのでカーボショッツを一袋渡した。
不安だったのでゼッケンナンバーを次の分岐の係員に伝え、5分以内に来なかったら見に行くように頼んだのだが、その後1kくらい先で、そのランナーには抜かれてしまった(笑) 抜かれるときに気付いたので声を掛けたが、なぜか無言。プライドを傷つけてしまったか、余計なおせっかいというわけだろう。
【何度目かの道迷い】
ぴょんかぴょんか走法で、片足の負荷が大きかったためか、大楠山の登りで初めてふとものの痙攣と痛みを経験。すぐに塩タブレットをかじり回復したが、ペースは大きくダウン。
大楠山の頂上で上州山楽走のGOTTIさんから携帯メールが入る。栗原さんが4:03でトップでごーるしたという知らせだ。こちらの居場所をレスしようとしたが、完走の見込み薄なのでパス。
前後の人影も少なくなり、膝の痛みは増す一方で、かなり悲しいランになってしまった。頭の中はリタイア後の温泉のことばかり。
CP7の大楠山からの下り、不覚にも3度目の道迷いで大きく逸脱。後でHNをうかがったシンゴ・デローザさん他、前後4人ほどが同じミスで、行きつ戻りつ、いつしか一緒に走り始める。タイムアウトが確実になり、脇を通り過ぎてしまったCP8に戻る気力もなく、次のCP9 山科台配水塔下 (30Km)に向かう。
途中の道路に出口ゲートがあり守衛がいる。なぜか横須賀市のオフリミットのエリアに入り込んでしまったようだ。
【リタイア】
CP9で既に開始から6時間30分以上経過。CP8を飛ばしたし、次の関門まで30分はかかるため、リタイアして近くのバス停から駅に向かうことも考えた。万が一の関門通過の可能性を目指し、皆で次に進む。30分ほど掛けて、CP10光ヶ丘第2公園 (32K)に着いたが、すでにチェックは終了。
水とかりんとうをいただき、近くのバス停からYRP野比駅に向かう。
YRP野比駅から京浜急行で三浦海岸駅まで3駅、ゴールの公民館にリタイア申告とチップの返却、荷物を取りに向かう。終了後は、一緒にリタイアした飯○さん、シンゴ・デローザさん、まりぱさんと、マホロバマインズの風呂(タオル付@1000)に行く。
大会スタッフ打ち上げに向かうまりぱさんを除く3名で、駅近くスーパー2階の小料理屋で軽くカンパイ。小料理店は「秋田家」と言い、若(?)夫婦でやっている美味しい地の魚を安くいただけるお店。走れなかった最後の10kmのリベンジを兼ねて、また行きたい店だ。
【感想】 完走できなかったのでその代わりに・・・
まりぱさん、リキさん、大勢のスタッフやボランティアの皆さん、お疲れ様でした。
想像以上に良いトレイルで、楽しいレースでした。
すれ違った地元の方、ハイカーの方、道案内やCP、エイドのボランティアの方々全員にご挨拶もでき、地元の方との軋轢など、次回に向けての障碍を、1gくらいは軽くできたのではないかと思います。
残念ながら完走はできず成績面では不本意ですが、ぴょんかぴょんかで20kmも走ることができ、また登りでは最後までさほどペースを落とさなかったので、できる限りのことをした充実感があります。
【本日の走行データ】
- 走行距離: 34km(コース32km、ミスコース2km)
- 走行開始: 8:46
- 走行終了: 15:30頃
- 走行時間: 約6:45
【本日の補給食、サプリ】
《朝食、走行前》
- おにぎり2(しゃけ207Kcal、梅干166Kcal)、ドーナッツ240Kcal、ワッフル200Kcal
- バームドリンク 1/3(約150cc)
- エナジージェル:SAVASエナージーメーカー200Kcal 合計約 1013Kcal
《走行中》
- エナジージェル:カーボショッツ117Kcal×2、234Kcal
- エナジージェル:SAVASピットインリキッド170Kcal×2、340Kcal
- BCAA:アミノバイタル・スーパースポーツ(ジェル)×1、100Kcal
- BCAA:マツモトキヨシ・トライアスロンプロ×1袋
- ハイドレーション:アミノバイタル 1300cc(摂取約1100cc)
- 塩タブレット: サンプリング品 2錠 計 674Kcal
《エイド》
- 水: 120cc
- 梅干: 2粒
- オレンジ: 1/4×2 約30Kcal
《走行後》
- 水: 200cc
- 黒糖かりんとう: 5ヶ
- 菓子: カントリーマアム
- BCAA:マツモトキヨシ・トライアスロンプロ×1袋
【本日のウェア、ギア】
- シューズ: ラ・スポルティーバ クロスライト(インソールなし)
- シャツ: ファイントラック・スキンメッシュT
- シャツ: ファイントラック・スパイルフィルLWロングスリーブ
- シャツ: 上州山楽走T(ポリエステル100、オリジナル)
- パンツ: パタゴニア・ウルトラ・ショーツ
- 靴下: パタゴニア・ライトウェイト・エンデュランス・アンクル・ソックス
- 帽子: 竹繊維キャップ(メーカー不詳)
- サポートウェア: スキンズ・ハーフタイツA400ホワイト
- 手袋: モンベル・フィンガーレス サイクル用手袋
- ザック: ドイター・スピードライト15
- ハイドレーション: キャメルバック・オメガリザーバー1.5L
- 計測用具: ガーミン・フォーランナー310、心拍計付
【携行品】
- エマージェンシーギア(ブランケット、ヘッドライト、マッチ、細引き、ナイフ、携帯食、ビニール他)
- 応急手当用品(ホワイトテープ、キネシオテープ、小はさみ、救急絆創膏、ワセリン、携帯副木)
- コンパス、マップ
- ウィンドジャケット: TNFスワローテイル・ジャケット
- 防寒具: パタゴニア・ナノパフ・プルオーバー
- 防寒具: 薄フリース手袋
- ウィックドライ・タオル(小)
【トラブル予防】
- キネシオテープ貼付 脛~脛腸靭帯~大腿筋膜張筋(45幅×50cm)
=脛腸靭帯炎、前脛骨筋疲労 - キネシオテープ貼付 踵~腓腹筋(45幅Y×30cm)
=ふくらはぎ疲労 - キネシオテープ貼付 膝下~大腿四頭筋(45幅×30cm×2)
=脛腸靭帯炎 - ワセリン塗付
=靴擦れ
【発生トラブル】
- 腸脛靭帯炎(10km地点~32km地点)
- 左足拇指丘前内側、米粒大の靴擦れ(水ぶくれ)
【遭遇トラブル】
- 12km地点、前走者が意識朦朧で転倒
→カーボショッツ1袋提供
まんもさん、いつも詳細な記事ありがとうございます。
私、臆病なので、第1回大会ってなかなか挑戦できないのです。
一応主婦なので時間のやりくりもあるし。
みなさんの日記を見て来年これに出てみよう。
って思っています。三浦縦断もそのひとつ。
金沢文庫に3年ほど住んでいたので懐かしい場所です。
今回は無念のリタイヤってことは来年リベンジですよね?私も出ようと思ってます。その時は案内お願いできますよね。
まんもさんのランナーズニーも早く治りますように。
投稿情報: ミルク | 2011年3 月 7日 (月) 13:01
おおっ! これはこれはミルクさん。
このレースはNPO主催なのですが、ジョグノの皆さんもボランティア参加されていたり、殆ど主催者側のようでした。
金沢文庫にいらしたんですか。おなじみの界隈でしょうから、あるそれは思い出深いレースになりそうですね。
来年は城ヶ島まで、63kmに延ばす計画もあるらしいですよ。
鹿児島の海を思い出して走ってください!
投稿情報: まんも | 2011年3 月 7日 (月) 13:20