走人閑話 「塩田剛三の世界」

走人閑話

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書店でふと目に止まった「塩田剛三の世界」（2011、海鳴社）を読んでみた。
合気道の達人である塩田剛三氏ご本人とそのご子息の塩田泰久氏の共著。
　
烏滸がましい言い方になるが、合気道の基本7ヶ条がワシのランや身体操作、姿勢に関する考えと近く、実に素直に得心しつつ読み進めることができた。
　　
特に「身体の重心」、「呼吸力（全身の力）と集中力（体軸を保つ力）」などは深く頷け、自説に力を得た思い。
　　
読み終えてふと思った。
　　
姿勢、走法、武道などの身体操法はたいていは物理的な解明や説明がなされる。
塩田氏も例外ではない。
　　
ただ、塩田氏の合気道、達人と言われるような人には物理的とは言い難い力が影響しているのではないか…
　　
心理的とか精神力ということではない。
　　
それは化学的な力だ。
　　
粘性、気圧、浸透圧、温度、比重、ph、濃度、燃焼、分離、化学反応…
　　
考えてみれば、神経細胞の間の信号伝達は、シナプスという化学的なプロセスが介在している。
　　
すべての筋運動は神経が介在しているので、動き自体は化学的な力が影響していると言えなくもない。