武田の杜トレイルラン、体調不良と練習不足で、前日まで出走するかどうか迷ったが、
- 第一回大会であること
- 距離と制限時間から、なんとか完走はできそうであること
- 主催者の手作り感が妙に気になったこと
- 石川弘樹氏のプロデュースするレースに一度は参加したかったこと
- 仕事の方が一段落したこと(代わりに脳に汗かいてくれる方がいた)
- Mixiで熱心に誘ってくれるボランティアの方がいたこと
などが、参加に踏み切った理由。特に最後のボランティアの方の誘いが決め手となった。
【コース】
武田神社(START)→躑躅崎園地→深草園地→要害山[甲府自然休養林]→天神山園地→北山園地→国道交差→鳥獣センター(第一関門)→白山→キャンプ場(第ニ関門)→[健康の森 一周]→森林学習展示場(片山、FINISH)
序盤の要害山、中盤の白山あたりにやや急な上り坂があるが、全般にアップアンドダウンは激しくない。
【アクセス】
3時20分には起床し、3:45には出発。首都高速から中央高速、途中釈迦堂のPAで15分ほど仮眠をし、一宮御坂から一般道で実走2時間、6時には甲府市北部の、武田神社につくことができた。
時間的には、甲府昭和の方が早く着くかもしれない。
【武田神社/躑躅が崎城館跡】
レースの受付とスタート地点は、甲府駅の北、武田神社の内にある。駐車場も神社のものを使わせてもらう。
冬の、特に山国の日の出は遅く、受付開始の朝6:30でもまだ暗い。
掘割、石垣などが武田氏の居館であった躑躅が崎の城館をしのばせる。幻想的な日の出風景。
着替え終わってスタート地点に行くと開会式が始まっていた。この後、神主さんから安全祈願のお払いをしてもらう。最前列の美ジョガーがシャキッとしていたのが印象的。走っても速いんだろうな。
【いよいよスタート】
東門に集結する参加者の方々。皆さんウェアやギアもバッチリで、身体も締まっていて、とても速そう。
【トレイル序盤】
東門を出て、池を巡り、躑躅が崎の丘陵を登る。ご覧の通り渋滞となったが、最初の坂だけ。すぐに緩やかなアップアンドダウンの林間コースとなり、集団はみるみるバラけ始めた。
私はといえば、走り始めて3km程で、下肢に異変。捻挫の再発防止に巻いたテーピングのせいで、脛の筋肉の伸縮が妨げられ、乳酸がたまってしまったようだ。痛みが徐々に増してきて、ズルズルと後退していく。
要害山への登り。「曲輪」、「門跡」、「竪堀」などを示す立て札がそこかしこにあり、山城の作りを解説している。
信玄の父信虎が築き、信玄自身もこの山城で産まれたという。
こんな山中で機械もなく土木作業、昔の人は大したものだ・・。体力もあったのだろうが、信玄堤、金山堀など、治水・治山、土木技術で有名な甲州のことだから、工夫や知恵も相当あったのではないか。
坂を上るうちに、下肢の痛みは尻(大臀筋)に上がり、さらに股関節、腰にまで上がってきた。途中で何度も棄権しようかと悩む。
後ろの方に追い抜かされてからは一人旅。ゴールまでの約25km前後に選手の姿を一人も見ないという、独走状態 (笑) 文字通り怪我の功名というか、得した気分。
要害山頂。スタートから5.77km地点で1:07経過。1:18で要害山を通過予定だったので、遅いとはいえ時間制限はクリアできそうで気を取り直す。
係員が一人居らして、「ここからはしばらく下りですよ」と励ましてくれる。
要害山からしばらくは、下り基調の枯葉トレイル。一部前々日の雨でぬかるんでいるが、概ね快適。
トレイルから舗装林道に出て、しばらく登ると、最初のエイドステーション。遠くから「頑張れ」と拍手の音。
大勢のスタッフや消防団の方々がいて、遅い私には少し気恥ずかしい。エイドは、バナナ、飴、キャラメル、コーラ、水と充実。バナナと飴、コーラを水で薄めていただく。
エイドの充実はホント小さな幸せだ。本日の得した気分その2。応援の拍手やかけ声とは、お得その3。
このあたりで既に1時間30分経過。トップは1時間も前に駆け抜けたらしい。
【トレイル中盤】
エイドステーションから積翠寺温泉古湯坊に続く、気持ちのいいトレイル。
15km地点。積翠寺温泉古湯坊を過ぎたあたり。スントを見ると、13.15kmと、まだ15kmになっていない。
スントの方が距離が少ないのは珍しく、何かトクした気分。計測用の一輪車とかで計ったのかなぁ。30kmは無いのかもしれない。本日のお得その4。
第一関門の「鳥獣センター」。地図で「鳥獣センター」というのを見て何の施設か不思議に思っていたが、ちいさな動物園みたいに見えた。もちろん違うのだろうが、確かめているゆとりはもちろん無い。
この関門は4時間で通過しなければならないが、3時間ちょうどでの通過だった。
「鳥獣センター」には2つ目のエイドステーション。ここでもバナナとアメをいただく。
第ニ関門へと続く坂の始まり。
この先の第ニ関門は5時間半の制限と、僅かな3kmほどの距離なのに1時間半も間がある。地図や高低図では読み取れない、よほど激しい障害でもあるのだろうかと、疑問が拭えない。
不安に思った矢先に出現した風景。なんと言う名の山か(羽黒山? 後で確認したら「白山」というらしい)、山水画の世界。高みに四阿(あずまや)が見える。「まさかあそこまで行くのではあるまいな」と一人つぶやく。
岩を削ったような階段がしばらく続く。途中、何人かのおば様パーティーと行き会う。登山客とすれ違ったのは、全行程でこの辺りだけだ。
後で聞いたら、この辺りだけ昭文社の「山と高原の地図」にルート図が載っているらしい。
羽黒山(?羽黒町の奥にあるので、勝手に命名。正しくは白山)から見る甲府市街。
残念ながらこの日は曇りで、甲斐駒(写真中央遠望、とがった三角の山)、鳳凰三山(甲斐駒の向かって左、山頂は雲に隠れている)が少し見えるだけだったが、晴れていたら南アルプスはもちろん富士山も良く見えるはず。
このあたりから先は写真を撮るパワーも無くなる・・。
山を越えるとレジャー施設がちらほら点在する千代田湖が見えた。なだらかな岩山を下る途中で20kmの看板。
だいぶ足が痛くなってきたが、モンブランの鏑木選手の「足が内出血でジャブジャブ」「針の山を裸足で走っているよう」という、もの凄さを想像して我慢した。それに比べたら、天国のように楽なはずだ。
【トレイル終盤】
ゴールの片山のふもとにあるキャンプ場が、第二関門で3つ目のエイドステーション。通過時間は3:50と、第二関門から3km足らずなのに50分も掛かってしまった。だいぶペースダウンしているようだ・・。
この後、初めて参加選手と行き違う。聞くとゴール寸前の選手とのこと。こちらはあと9km弱、頑張れるだろうか・・・。まぁ、そんな意味のない問いを発しても何の役にも立たないけど。
道案内のボランティアの方々の励ましに応えるため、少しづつジョグる。チマチマとせかしく足を動かすのだが、スピードは歩く速度と変わらない。「これからは『トレイルジョグ』と言わんとあかんな・・・」などと嘯きつつ、腰と股関節の疲労がピークに達し、どうしてもスピードが出せない。しかし、ボランティアの方の励ましが、これほど効くとは思わなかった。
「健康の森」という、レース終盤のトレイルは、殆どがダブルトラックの林道のようだが、落ち葉に埋まり幅広いシングルトラックのようだ。
距離をあわせるためだろう、最後の5kmはあちこち行ったりきたりでジグザグコースだったが、適度のアップ&ダウンで、ゴロタ石もなく本来であればとても走りやすいに違いない。
25kmから先は、自分にとっては未知の世界。あと5kmを切ってから長く辛かった・・。
終盤5kmは、距離表示が1kmごとだと、いい励みになるのだろうなぁ。
北斜面からは、なんと八ヶ岳までが遠望できた。想像もしていなかった景色だったので、本日のマル得その5。
【フィニッシュ】
健康の森をあちこち走ってから、再び第二関門近くの片山に戻る。最後の階段を上り詰めると、感動のフィニッシュ~!! 女性アナウンサーの声でナンバーと名前がコールされ、嬉しいやら恥ずかしいやらで複雑な気持ち。
プロデューサーの石川弘樹氏が握手で迎えてくれる。雑誌などで何度も拝見しているので、他人のような気持ちがせず、思わずハグしたくなった。
タイムは手元で5:24:19、公式は5:24:24だった。
ソイジョイ、水、半分にカットしたバナナを貰い、ほうとうをいただく。
残り数杯分しかない、大鍋のほうとうの量で順位が分かってしまう。具が殆ど無く、麺と汁しかなく、しかも冷め気味だったが、実に旨かった。いやホント。
この後、預けておいたダウンジャケットを受け取りに荷物引渡し所に。やはり数袋しか残っておらず、係員の方と笑いあう。
スタート地点の武田神社に巡回する、マイクロバスを待つ行列。台数が少なく、寒い中で30分以上も待つことになった。クールダウンを通り越してコールドダウンで、筋肉がこり固まってしまう。
素晴らしい運営のなかで、唯一次回改善していただきたいこと。
【レース後】
湯村温泉郷の、無料入浴券をいただいたので、車で早速向かう。10軒以上ある宿のどれにするか迷ったが、一番奥まったところにある、一番地味そうな杖温泉「弘法湯」にした。
石を動かすために杖を突いたら温泉が湧いたという。弘法大師の錫杖伝説は日本各地に沢山あるので真実かどうかはわからないが、今もお湯がコンコンと湧き、旅館も続いているとなると、信じたい気持ちになってくる。
玄関からお邪魔したところ、どなたもいない。しばらく佇んでいると大女将と思しきお年寄り一人出てきたので、無料入浴券を示したが、今ひとつ様子がわからない感じで奥に引っ込んでしまった。じきに女将さんが呼ばれ、お風呂まで案内してくれた。
男の風呂は源泉掛け流しとのことで「ごゆっくりどうぞ」という言葉に甘え、たっぷりとお風呂を楽しんだ。レース参加者で入浴したのは、どうやら私一人の様子。とても贅沢をさせてもらっている気がしてきて、これも得した気分になり、脱衣場にあった大師像に手を合わせ、光明真言を七度唱えた。
風呂から上がり、お礼にお土産でも買わせていただこうかと、玄関に戻ると笑い声が聞こえる。風呂に案内してくれた女将さんと若い男の方、年配の男性(宿のご主人で、送迎バスの運転をされていたらしい)が談笑をしている。
仲間に招きいれてくれ、しばし歓談。女将さんがコーヒーまで運んでくださった。聞けば男性は、このレースを起案したヨ○ダさんという方(上の写真の方)で、宿のご夫婦にお礼のご挨拶に来たとのこと。そしてテーブルの脇には、TARZANの内坂庸夫氏の名刺が置いてある。このレースを取材に来られたらしい。とするとにこやかな表情の、宿のご主人は、この温泉街の顔役か観光協会のお偉いさんなのか・・・?
ヨ○ダさんに「レースの印象は?」とたずねられ、地元の運営の方々のホスピタリティ、風景・環境とコースの素晴らしさなど、率直に申し上げた。地元の方だと思ったヨ○ダさんは、なんと川崎の方だという。上の写真では暗くて見えないが、やんちゃそうでチャーミングな好男子。武田の杜を何度も走っているうちにレースを着想し、1年前から武田の杜の管理の方、神社の方々、湯村の温泉街の方々に掛け合い準備を始めたという。もちろん石川弘樹さんの力添えも大きかったのだろうが、地元以外の方が起案されて、結果的にこんな素晴らしい大会を実現されたことが、まるで我が事のように誇らしかった。
レースを知った初期の頃は、ネットで「武田の杜」と検索しても殆どヒットしなかったが、わずか数ヶ月でかなり増えている。多分参加者なのだろうが、このブログにも「武田の杜」というキーワードで何人も訪れている。地域起こしとネットの効果や、招待選手でもある山本健一氏の魅力などを語りつつ、ヨ○ダさんのおいとまのタイミングに併せて失礼した。
お風呂とお礼をしそびれてしまったコーヒー、そして楽しい時間と出会いのお礼に、友人知人との試走会を企画したいし、家族を連れて是非立ち寄りたいとも思った。もちろん来年の大会も是非参加したい。
私だけではなく、大勢の参加者がそう思ったに違いない。
【リザルト】
- 時間: 5時間24分24秒
- 順位: 不明(多分下から5番目くらい)
【本日の走行データ】
- 走行距離 30.0km(スント計測28.13km)
- 走行時間(グロス/ネット) 5時間24分24秒
- 平均ラップ 10'81/km
- 平均速度 5.55km/h
- 最大心拍 186
- 平均心拍 162
- 運動強度 5.0(MAX5.0)
- 消費カロリー 3,188Kcal(スント計測)
【本日の補給食、サプリ】
《朝食》
- 菓子パン 2
- マックのホットドッグ
- マックのホットコーヒー
- 大豆バー(80Kcal)
- VAAMウォーター 1袋分 (500cc)
《スタート前》
- VAAMジェル 1袋(35Kcal)
- アミノバイタル プロ3600 1袋(18Kcal)
《レース中》
- 自家製スポーツジェル 140cc 330Kcal
- MUSASHI NI(ニー)スティック 1袋
- ハイドレーション(「MUSASHI レプレニッシュ 1350cc分を1,500cc(消費800cc)
《レース後》
【本日のウェア、ギア】
- バックパック: グレゴリー・スティミュラス 5L
- シューズ: モントレイル・ハードロック 08モデル
- シャツ: パタゴニア・キャプリーン3 ジップフロント・ロング
- アンダーシャツ: ファイントラック・スキンメッシュ Tシャツ
- パンツ: アシックス・ランニング・トランクス
- 靴下: スマートウール・PhD・トレイルラン・ミニ
- 手袋: パールイズミ・メッシュ・指切
- 帽子: スマートウール・ヘッドライナー
- サポートウェア: スキンズ・ロングタイツ 紺
- ハイドレーション:ブラティパス・水筒タイプ 2L
- 計測用具: スントt3c(ハートレートモニター、フットポッド)
- メディカルセット(簡易版)、エマージェンシーセット
【本日の費用】 もう少し地元で消費しなければ・・・
- 交通費往復:首都高速+中央高速 (往:一宮御坂 1,800円、復:甲府昭和 1,900円) 小計3,700円
- 朝食:Macのドライブスルー390円、夕食:PAのMOSSバーガー&コーヒー600円 小計 990円
- 他に、土産 1,050円、ガス代